「どうして学校に行かないといけないのですか」
手紙の最後にそっと書かれていました、小学校4年生の女の子からです。
さて何と答えたものか、考えこんでしまいました。けれど、すぐに返事を出さなければなりません。
「学校って子どものお仕事よ、お父さんもお母さんも毎日仕事をしているでしょ、それと同じ」
「立派な大人になるためさ、社会に出て仕事をして結婚して子どもを育てる、その時に勉強したことが役にたつんだよ」
お母さんとお父さんに聞けば、きっとこんな答が返ってきます。
「だってお母さん、仕事は選べでしょ、好きな仕事ができるなら国語と理科を勉強する、算数は嫌いだからやらない」
「お父さんは今は立派な社会人なの?昔、勉強したことは役立っているの」
でも女の子はそんなことを言ったら大事なお母さんとお父さんが困ってしまうだろうと思って黙っていたのです。
「ねえ、みんな、なぜ学校に来るの」
同級生に聞けばたちまち答えが返ってくるでしょう。
学校に行かなければ親に怒られるから、友だちと遊びたいから、家にいてもつまらない、給食がおいしい、体育が好き、中には「おまえをいじめるとおもしろいから」なんて言う子もいると思います。そんな返事は聞いてもしかたないのです。
こう答えました。
「学校にはたくさんのヨーカイがいます、悪いのも良いのも。きっと君のことを好きなヨーカイもいるでしょう。ヨーカイは意外とおくびょうだから、君が熱心に先生の話を聞いている時などにフッと現れるものです。楽しみにしてください。学校は探検して発見するところです」
ついでにこのお話も送りました。
「お話おもしろかった、私とそっくりな人が出てきました。学校ってけっこうおもしろい」
しばらくたってから返事をもらいました。ああ良かったと思いました。
お話の絵が描けたら送ってくださいね